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2012年4月13日 (金)

映画感想文「KOTOKO」

久しぶりだな、このカテゴリ。
映画、ちょこちょこ見てるんだけど、見た後に影響を受けすぎるというか、考えすぎて、結局考えがまとまらなくて、感想が記せないんだよね。

でも、この感想は残しておきたかった。
mixiには、とても当たり障りのない事を書いてしまった。
本音は、とても書けないと思った。

結構ネタバレてしまうので。
気にする方は、映画見てからにしてね。


一言で表現するならば、衝撃だった。
そうとしか言えない。

このデリケートな世の中。
人は誰しも、多かれ少なかれ精神的な何かを抱えているのだと思う。
誰もに思い当たる物語。

自分を頼りにしてくる我が子。
腕の力を緩めれば。
全てが終わってしまうのに。
全身を、委ねてくる、其の感覚。

母になった人にしか解らないのだろう。
だから私には解らない。
納得はできても、経験レベルでは全然分かっていない。

守りたい、大切にしたい、ちゃんとしたい。
そんな気持ちしかないのに。
うまくいかない、守れない。
一時、手放すように、促されて、離ればなれ。

愛情を注ぎたいだけなのに。

なんてもどかしいのだろう。

注ぐばかりだと思っていた愛情の、風向きが変わる。
自分に注がれるようになる。
にわかには信じられずに。
疑って、試して、ぶつかって、遠ざけようとして。
それでも大丈夫って言ってくれた。
世界がひとつに重なった。

なのに。
結局、目の前から消えた。
其の、喪失感。

そして子供は帰ってくる。
また、注ぐ愛情。
自ら、手を下してしまいそうになるほどの、狂おしい愛情。

でも、出来なかったんだね。
何かが、それをさせなかったんだね。

ラストシーン。
会いにきて、にこやかに話す子供。
他愛のない事を。
報告して。
折り鶴を作って。置いていく。

それは、昔、母に教えられた折り鶴。

窓の外。
手を振って帰る子供。

琴子の周りの人は、誰もが、虐待じゃないかと疑ってしまったのに。
子供は、解ってたんだよね。
愛情を、疑いのないほどまっすぐな愛情を。
信じていたんだね、いるんだね。
それが、救いだった。

貫けないなら。
大丈夫なんて言わなきゃ良いのに。
消えてしまうのなら。
そんなにきつく抱きしめたりしなきゃ良かったのに。
結局は、冷めてしまう。
ついていけなくなる、守りきれなくなる、手放したくなる。
放っておけないと言ったのと同じ人が、結局最後は、ほっぽり出すんだね。
だからもう誰の手も取らない。

それでも。
自分が注ぐ愛情は真実で。
其の命のすべてを、自分の両手に預けてくれる存在は。
どんなに愛おしいだろう。
勿論、それだけじゃない、葛藤も苦労も沢山あるのだろうけれど。
それでも。
無条件に愛せる存在なんて。
疑わずにすむ愛情なんて。
母子の絆以外に、何があるだろう。

歌うシーンが好きだった。
たった1人の男を、ちゃんと愛せると確信した瞬間に、聴かせる歌、見せる自分。
劇中、1番綺麗な琴子のシーン。

あんなにまっすぐ示したのに。
何がいけなかったのだろう。
これから、すべてが変わると思ったのに。これからこれからこれから。

傷だらけにした腕をタオルでくるんで。
ソファに寝転んで話すシーン。
血は、生臭くて、海みたいなにおいがするから、って。
そんな内容のセリフ。
あれ、好きだった。
命は、海から来たんだ、っていう話。
私も、ずっとそう思ってた。
リストカットは、死にたいからするんじゃなくて、生きてる事の確認、っていうのを、ちゃんと説明してくれてるのも好きだった。
死にたいと思って手首を切ってみた事を、安易にリストカットって言う人いるけど、それは違う、それは死に損ない。
リストカットは、生きてる事の確認だから。
そうしないと、解らなくなるから、だから。

宇宙の話も好きだった。
太陽系のようなものが、広い宇宙には沢山あって、其の中のどれかひとつに、地球みたいな星があってもおかしくない、って。
そんな話を。
黙って聴いてて、其の後。
隣で聞いてた田中が。
「あなたをずっと好きでいつづけるという事が仕事だったら良いのに」なんて、とんちんかんな事を言う。
結局、義務じゃないと続けられないと言ってるようなものだ。
でも、琴子はもう、愛を芽生えさせてた。

すれ違いは、哀しい。

CoccoがKOTOKOの為に書き下ろしたエッセイ「コトコノコ」も買った。読んだ。
より深く、映画を味わう事が出来た。

自分に向かう愛情は。
信じられない。
だから。
手にしない事にしている。

あの喪失感は、たまらない。
こわい映画だった。
思い出しては何度も泣いて。
エッセイを読んでは、また泣いて。

それでも琴子には。
愛情を注ぐ先があった。
間違った形になろうかとしたけれど。
それすら無いのとは全然違う。

夜な夜な泣いて、自分を持て余すしか出来ない私。

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