映画感想文「ヘルタースケルター」
【7月20日、若干追記しました。こっそりと。】
公開2日目、日曜日。
見に行ってきました。
もともと、蜷川実花さんが好きで。
「さくらん」だって見に行ったし、DVDまで持ってる程好きなのですが。
今回は、原作を読んでからだったので。
かなり緊張して見に行った。
あれを。
沢尻エリカがどこまで演じるのか。
蜷川さんは、どこまで自分のカラーを押し出していくのか。
「さくらん」の時は、本当に色彩美に圧倒されてしまって。
映画館に見に行った時は、ストーリーが頭に入ってこなくて。
動く写真集だと思った。
それくらい、写真家・蜷川実花が初めて撮った映画作品、だったのだ。
今回は。
それを、良い意味で裏切られたと思う。
映画監督・蜷川実花が全身全霊で撮った2作目監督作品、なのだと思った。
私は、岡崎京子さんのファンというわけではない。
周りに、好きな人が多いので、その名前といくつかの作品が拝読した事があります、というくらい。
なので、若干、蜷川実花寄りの見方をしてしまうだろう事を、始めに謝らせて下さいな。
特筆すべきは。
沢尻エリカの美しさ、である。
魅せ方を知っている、この子は。
そして、水原希子。
生まれながらに可愛い子、美しさを疑った事のない子。
自然体で演じてて、何も怖くないという感じの、若者特有の青臭さ。
見事だった。
そして窪塚洋介のいやらしさ!!
もともと嫌いだったけど、ますます嫌いになった!!!
(だから、この人は、私が嫌いなタイプの男を演じさせるとピカイチ、って事なんだと思う。もう、嫌い嫌いで寒気がしちゃった! 粘着質で、自分が可愛くて。だけど冒険が嫌い。見事に演じきってた。あの役を、あれだけハマらせるって、なかなかできないと思う。)
そして癒されるぞ、新井浩文(笑)
彼は、そして彼の役柄は、この映画を辛く哀しく生きにくい女の現実だけの作品にしてしまわないよう、必要だったのだと思う。
ホッとする人。
桃井かおり、ハマり過ぎ。
もう、原作読んでも、社長のセリフが桃井さん口調で再現されてしまうレベル(笑)
寺島しのぶは、キャスティングされた頃から、なんかイメージ違うなー、こんな言いなりになるというか、好きなように弄ばれるイメージはないんだけどなぁ、と思っていて。
話が進んでいってもその感じは拭えなくて。
そうしたら、最後。
最後の場面の演技が、もう! すごいんだわ。
この為に、このシーンを胸に焼き付けさせる為に、キャスティングされたんだわ、あの人。
一緒に見に行った方も、「あの演技はすごかった」と言っていました。
そう、だからこの部分は全部受け売りです。ははは。
でも、本当にそう思った。
俳優陣を見てても分かる事なんだけど。
完全に、蜷川組でまとめた感じ。
これぞ、売れっ子写真家の実力。
そして、蜷川さんの役者さんを見抜く目、そしてそれを役柄に当てはめていく判断力。
才能ってすごいな、と思う。
「さくらん」と違ったのは。
今度は、動く写真集だとは思わなかった、ということ。
一緒に見に行った人の言葉を借りるなら「映画作品、だったよね」という事だ。
ストーリーを、渦巻く心情を、画面から溢れんばかりに、叩き付けるように、見てる人にガンガン訴えてくる、その間に、チラッチラッと蜷川実花らしい色彩や小物が映って。
物凄いストーリーだった、と思った後、じわーっと蜷川実花らしさが思い出されるのだ。
原作と全く違う展開になるとか、あまり意識しない作品にする事を、何処かで少し望んでいたけれど。
全く原作通り、だった。
原作を忠実に再現した、という感じ。
普通、そんな言い方をすると、否定的に聞こえてしまうのですが。
この場合、そうじゃない。
あの原作を、忠実に、勢いを損なわず、痛みも恐れも苛立ちも何もかもをブチ込むというのは、大変な作業だったと思う。
ただ、私がひとつだけ、少し気になったのが。
「さくらん」は、音楽監督を椎名林檎に一任していて。
音楽面での完成度も、一瞬の隙もないほど綿密に仕上がってる芸術作品だった。
そこが、「ヘルタースケルター」は、使ってる曲もバラバラで、統一感が無いように感じられて。
蜷川実花さんが、思い入れのある楽曲、此処ではこれを使って、此処ではこれを使いたいというアイディアを出したというのも知っているので、これはこれで正解なのかな、とも思ったけれど。
これまた一緒に見に行った人に、その事を申し上げたら「そこも、ヘルタースケルターって事なんじゃない? しっちゃかめっちゃかで。」と言われて、何だか腑に落ちてしまった。
んんん、丸め込まれてないか、私?
まぁいいや。
そして、「さくらん」と同じだったのが。
“自分の人生は自分で決める”と主人公が言い切る所。
これは、蜷川さんの人生論なんでしょうね。
力強くて好きです。
まだ、公開されて間もないので。
当たり障りのない事しか書かない。
知りたい人は。
是非、自分の目で確かめて欲しいと思う。
多分、何かを残すから。
賞賛でも嫌悪でも驚きでも衝撃でも。
何かは分からないけど。
必ず何かは残すと思うから。
特に、女性は。
私は、見て良かったと思います。
化粧なんて、ドラッグみたいなもんよ、って。
りりこが言ってるのを聞いて、苦笑してしまった。
ほんと、そうだ。
もっともっと欲しくなっちゃうもの。
そういう、細かい所がね。
ああ、女性の映画だな、と思ったのでした。
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初めての映画デートで見に行くには、選択間違ったかな、と思ったのですが。
見終わって、どんな顔して隣の人を見ようかしら、と。
ドギマギしつつ。
館内が明るくなった時に、そーっと首を回したら。
私以上に放心状態になっていたので、何だか笑ってしまった。
ほんと、純粋な人だなぁ。
一緒に見れて良かった。
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